(5)法定相続人が欠ける場合

法定相続人が一部または全部いない場合(全員ないし一部いない時)はどのように財産が引き継がれるのでしょうか。

1.代襲相続による処理を伴った相続代襲相続とは相続開始以前に相続人の死亡や廃除・相続欠格のため相続権を失った場合、そのものの直系卑属(子や孫、養子)がそのものの相続分を代わりに相続する制度です。代襲相続できるのは相続人の子や孫・兄弟姉妹です。子は相続人の直系尊属でありかつ被相続人の直系卑属である必要があります。ただ養子縁組前に生まれていた子は、養親との間で法定血族関係を生じず(大判昭7.5.11)、養親の直系卑属に当たらないこととなるため代襲相続はできません。なお相続人が相続を放棄した場合は代襲相続はできません。

2.再代襲相続を伴った相続再代襲相続とは代襲相続できるものが死亡した場合にそのものの子(養子も含まれます)が代わりに相続する制度をいいます。相続人が子の場合は何代も再代襲できます。兄弟姉妹につきましてはちょっとややこしいのですが、昭和55年12月31日以前に開始された相続については,民法に兄弟姉妹が相続人となる場合であっても再代襲相続されるという規定があったため、兄弟姉妹が相続人の場合でも再代襲相続が開始されます。他方,昭和56年1月1日以降に開始された相続については,兄弟姉妹が相続人の場合には再代襲相続は認められません。


3.(1)(2)もできないとき第1ステージ 相続財産管理人を選任します。
被相続人の債権者、特別縁故者、検察官が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求します。そして家庭裁判所は相続財産管理人を選任し管理人公告をします。相続財産管理人は、相続財産を管理及び債権申し出の公告を行い、債権者や遺贈を受けた者(受遺者)がいれば、支払いを行います。まだ相続人が不明の時は、家庭裁判所は相続人を探すための公告をします。相続人が現れなければ、相続人の不存在が確定することになります。

第2ステージ 特別縁故者による財産分与の申し立て
特別縁故者とは相続人ではないが、被相続人と特別の縁故関係にあった者をいいます。特別の縁故とは被相続人と生計を同じくしていた者で被相続人の療養看護に努めた者やその他被相続人と特別の関係があった者をいいます。財産分与の申し立て(相続人捜査の期間満了後3ヶ月以内)を行った者がいれば、家庭裁判所は特別縁故者の一切の事情を考慮して、その分与の内容程度を決めます。    
     
第3ステージ 共有者への帰属
相続財産に共有物がある(共有者の一人が死亡した)場合、亡くなった者の共有持分は他の共有者に帰属します。

第4ステージ 国庫への帰属
共有者も特別縁故者もいない場合には、相続財産管理人には家庭裁判所の審判により報酬が決められ、相続財産の中から支払われます。そして残った財産は国庫に帰属します。

簡単にまとめますと
1.まずは相続人がいれば相続人が相続。
2.相続人が全員確定しなければ代襲相続あるいは再代襲相続できる人がいればその人が相続。
3.(1)(2)がだめならば相続財産管理人に相続財産を管理してもらいつつ特別縁故者や共有者を探し、それでも見つからない場合は国の財産になる。

このような流れになります。

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